川勝さんのお別れ会があったのが2月12日。
あれから少し経って気持ちは落ち着いたけれど
川勝さんがもうどこにもいないらしいという、
そのことがなーんか腑に落ちない。
川勝さんが死んじゃって、
お別れ会の連絡をもらって、
39にもなってちゃんとした喪服を
持ってないことを思い出した。
持ってた方がいいよなーと
何度か思う機会はあったけれど、
なんとなーく買わずにきたら、
まさか川勝さんで必要になるとは
思ってもみなかった。
3〜4年前、どこかのパーティーで、
川勝さんがポール・スミスの
ツイードのジャケットを
とても粋に着こなしていたのが印象に残っていて、
喪服をポール・スミスで買うことに決めた。
そう、50を超えてからの川勝さんの
「仕上がり具合」は最高にカッコ良かった。
初めて川勝さんを知ったのは87年くらい。
全然カッコ良くなかった。
夢中で読んでた『宝島』には
当時のサブカルチャーのスターがたくさん載っていて、
憧れてたのはいとうせいこうさん、宮沢章夫さん、
完さん、ヒロシさん。その中で川勝さんは
むしろ「野暮ったさ」や「スクエアさ」を
芸風にしているような印象で。
でも50を超えてからの川勝さんは
誰よりもカッコ良く仕上がっていた。
たまに会う度、憧れみたいな気持ちが増していった。
ずっと動いてるポップカルチャー全体を、
変わらず愛情持って見続けていた
あの人じゃないと、ああはならない。
みんな自分の守備範囲を決めて、
落ち着いて渋くなっていくもので、
川勝さんだけがそうじゃなかった。
そうそうできることじゃないと
本当に思う。
そんな川勝さんが粋に着ていた
ポール・スミスを思い出して、
喪服を買いに伊勢丹に行った。
スーツの上下に白無地のシャツとネクタイ、
ジャケットには刺繍を入れて、
靴だけはスニーカーにしようと決めた。
そうして家に戻って、
川勝さんの弟子のエディターの
辛島さんに電話して伝えたら
「川勝さん、スーツはギャルソンだよ」と言われた。
お門違いの出費をしてしまった。
えー、確かにツイードのジャケット
ポール・スミスだったんだよなぁ。
でも白無地のシャツは気に入って、
普段用にもう1枚買うことにした。
たぶんこの先、着る度少し川勝さんを思い出す。
まだまだ書きたいことはあるような気もするけれど、
キリがないのでこの辺で。
川勝さん、ありがとうございました。