震災や原発事故の被害者を描いた作品は沢山あれど、お涙頂戴的な感動路線とは完全に一線を画している作品。
故郷から250キロ離れた埼玉県の廃校に避難してきた、双葉町の町民達のありのまま姿をカメラでとらえ続けることで、原発事故の本当の意味、そして我々が置かれている誠に奇妙な状況が浮き上がってくる。
震災を経て一年半がたった今、気がつくと”日常”の中から震災、原発事故の閉める割合が徐々に減り、それに関するさまざまな事象に対して、日々の生活に忙殺され、思考停止になっていく。
でも今も、今後何十年、何百年と見えない敵に苦しみつづけなければならない人達がいる。そしてそれは決して他人事ではない。
誰が被害者で誰が加害者なのか。
”当事者”はいったい誰なのか。
映像メディアが出来ることはそれを記録し人々の目にさらすことで、常に記憶を風化させないこと。
そして常に”問い”を投げかけること。メディアに従事するものとして、その重要性を改めて痛感させられた。
監督は今も、そしてこれからもカメラを回し続けるという。
今、見るべき映画だと本当に思いました。
『フタバから遠く離れて』 10/13-11/9 オーディトリウム渋谷ほか